原作  和 秀雄
 私は、この映画の原作『ゴンはオスでノンはメス』を、大上段にふりかぶった「性教育の本」にするつもりはありませんでした。
 ニホンザルのいろいろなことをもっとよく知ってほしい。生きとし生けるすべての生命の神秘さやその大切さをもっとよく知ってほしい。そして、「あ、そうか。こんなことが人間のからだの中でも起こっているんだ」ということを、ごく自然に受け入れてもらえたら…と思って書いたのです。
 映画になった『ゴンはオスでノンはメス』は、生命の賛歌を、素晴らしく映像によって見事にうたいあげてくれます。私の本を、こんな素晴らしい映画にして下さった群像舎の方々に、心からお礼を申しあげます。
語り  見城 美枝子
 親と子が性教育をまっこうからというのは、お互いにテレてしまうので難しいと思います。されど日頃から「赤ちゃんはどうしてできるの」という子供の疑問を、親子の話題にしておくのは必要です。思春期になって急に話すのも難しいですから。私は、無理に教育するという形でよりも、日常接している映像での方が子供も受け入れやすいと考えます。
 この映画はニホンザルの物語ですが、人間も同じように生を受け、育ち、大人になり親になって命が伝わっていくのだと、子供たちは自然に感じられると思います。