この映画の利用について
関口 勇
 幸島の「ニホンザル生態」研究が映画になって約30年。サルの世界にも世代の交代があり、海水で麦と砂とを選り分け、芋に塩味をつけ、入らなかった水に潜り戯れる、然もこの映画では粉雪の舞う露天風呂に悠々とひたって暖をとり、瞑想に耽る(?)など人間風景そのもの、変われば変わるものである。そうした中で母が子を思い子が母を慕う心は変わらない。何か人間社会にものをいいたげで、頂門の一釘とはこんなことをいうのだろうか。
上映後次のような点を話し合ってみたい
@身障のモズが不自由にめげず娘のモミジを胸にかかえ群について山道を行く。モズの母モリが後になり先になって見守る母心、わが娘の一人立ちの励ましだろうか。この心をかみしめたい。
A餌によるサルの奇形ではない。ご用心、ご用心。
Bニホンザルの社会は母系家族という。モリが娘のモズに、モズがモミジに寄せる愛の深さを所々に見いだしたい。
C夏の地獄谷の子ザル達の遊びはいかにも楽しそう。先に飛んでいった姉ザルがモミジの呼び声に戻ってきて背に載せ、瀬を飛び渡るなどほほえましい風景。モミジのこうした冒険旅行どう思います?この時のモズのモミジへの接し方はどうでしょう?
D日暮近く山に帰る。危険なゴムホースを渡るモズ、胸にしっかとつかまるモミジ、群れに遅れじと頑張るモズの心意気はいかが?
D日暮近く山に帰る。危険なゴムホースを渡るモズ、胸にしっかとつかまるモミジ、群れに遅れじと頑張るモズの心意気はいかが?
E子ザルの好奇心が発見させたという露天風呂。変化のきっかけはいつも子ザルがつくる(幸島のサルとの比較でうなづける)。粉雪の舞う風呂にじっくりつかって暖をとる婆さんザル、このご満悦の顔どうですか!
Fメリルュウスが死児を離さぬ心の中は如何?
Gモズの身障を克服して娘モミジを逞しく一人立ちさせようと頑張る心意気、何か人間に深くかんがえさせるものがあるようですが。