ガンの越冬地、宮城県の伊豆沼・内沼。東北地方第2の淡水湖で面積289ha。1985年、伊豆沼・内沼は「ラムサール条約」の登録地に指定された。
ガンは厳冬期にはその数24,800羽ほど。日本に冬鳥として飛来するガンの8割である。
 早朝、一斉に沼を飛び立ち採餌に向かうガンの大群。伊豆沼・内沼の周辺は仙北平野の広がる穀倉地帯。ガンは田圃に舞い降り、そこでエサ採り。落ち穂や畦に生えているイネ科の植物がおもなエサ。
 ガンのいなくなった沼やその周辺の水辺でエサを採るのはカモやハクチョウたち。オナガガモ、マガモ、ミコアイサ、ホシハジロなど淡水ガモや海ガモたちもいる。ハクチョウはマコモの根をおもに食べる。また猛禽類ではノスリ、チュウヒ、オジロワシ、オオワシの姿も。
オオヒシクイ ヒシクイ オジロワシ
 春から初夏、冬鳥たちがシベリア方面へ去ると交代でやってくるのが旅鳥や夏鳥たち。5月から6月にかけては野鳥たちの繁殖期。クイナの仲間オオバンとバンはヒナを連れ立って子育て。小魚をヒナに与えているのはカイツブリ。ヨシの原の中ではオオヨシキリがヒナにエサとなる昆虫を運ぶ。ヨシゴイやゴイサギの姿もある。
 8月盛夏、沼の畔でふ化したトンボたち。イトトンボ、コフキトンボ、ウチワヤンマ、チョウトンボと種類も多い。オオバンの子どもは立派に成長、親子連れで水草を食べている。
 そして稲刈りのはじまる9月下旬。ガンの第1陣が再びやってくる。
 四季を通じて見られる野鳥の数200種。しかし、伊豆沼・内沼周辺は水質汚染とガンの一極集中がいま懸念されている。