ドキュメンタリー映画
   『福島・生きものの記録』支援プロジェクトからのお願い

 ドキュメンタリープロダクション・群像舎は、日本列島を中心に30年にわたって野生動物のいのちの営みを記録してきました。私たちはその群像舎の活動に共感し、さまざまな形で応援をしてきました。

 福島第一原子力発電所の爆発事故は、その生きものたちもまったく新しい環境下に追い込む事態を発生させてしまいました。

 この事故で、とりわけ福島県では、野生生物と人間の境界を議論することに意味を持たなくなりました。人間・動物・植物の別なく、すべての生命が“大きないのちの環”の中にあることが、実に皮肉な形で示されつつあります。


 長年にわたり野生生物の生態と環境を記録のテーマとしてきた群像舎は、いま改めて福島の生きものに焦点を絞り、そこに何が起ころうとしているのかに目を向ける責任を痛感しています。しかし、そのための確たる方法も見通しもまだ見えていません。ただスタッフたちは、先ずカメラと録音機を回すこと以外に、その答えを引き出すことは出来ないと考えています。また“汚染された生きものの記録”には予想することもできない長い時間が必要になるだろうとも考えています。

「ともかく、靴の紐を結んで歩きだそう」―岩崎雅典監督の決意です。

 

 私たちは、ドキュメンタリー映画シリーズ『福島・生きものの記録』“支援プロジェクト”を設立することにしました。長年、生きものを記録してきた群像舎の経験と技術に私たちの希望を託し、地味でも持続力のある支援の形を作りたいと考えます。私たちはそのために、多くの人々のプロジェクトへの参加、製作資金の幅広いカンパ、さまざまな映像技術者の協力を仰がなければなりません。

 私たちは、この支援プロジェクトがドキュメントシリーズの製作を支え、そこに記録された生きものの姿を次世代に引き継がなければならないと強く考えています。

 記録された生きものの姿が、いつの日か、次の世代の人々のより賢明な科学技術の選択に資することを念じつつ、心より支援プロジェクトへのご協力をお願いする次第です。

     2012年9月

 

ドキュメンタリー映画シリーズ

『福島・生きものの記録』支援プロジェクト

発起人   
中本信義(代表)

坂口 康 /陣内直行
菅野 均 /矢作和重
高橋丈夫/中山 哲
清水光雄/丹野慎一
太田 肇

 

Copyright(c)2003,gunzosha Ltd. All rights reserved.